三本目 受け流し
左横に座っていた敵が、突然立って切り下ろしてくるのを鎬で受け流し、さらに袈裟に切り下ろして勝つ。
動画
動作
- 正面から右向きに正座する。正面(左横)の敵に振り向くと同時に両手を素早く刀にかける。間をおくことなく、腰を上げて右足つま先を立て、腰を伸ばしながら左足を右ひざの内側にやや外側に向けて踏み込んで刀を胸元近く頭上前方に抜き上げると同時に立ちあがり、右足を左足の内側に踏み込んで敵の打ち下ろした刀を受け流す。
注(1)刀を抜き上げたとき、刃先は後ろ斜め上に向けて切っ先を下げ、刀で上体をかばった姿勢となる。 - 受け流した勢いで切っ先を右上方へ回して敵に向き直りながら左手を柄にかけ、刀を止めることなく左足を右足後方に引くと同時に敵の左肩口から、袈裟に切り下ろす。
- そのままの姿勢で刃先を前方に向けながら両手を左前にして「ものうち」近くを右膝の上方におくる。
- 右手を柄からいったんはなし、上から逆手に持ちかえる。
- 左手は柄からはなして鯉口を握る。右手は「たなごころ」を上にかえして切っ先を下から左へ回して鍔もと近くの棟を鯉口におくる。逆手のまま「納刀」し、納め終わると同時に後ろ膝を床につく。
- 立ち上がると同時に後ろ足を前足にそろえる。右手を柄からはなして、「帯刀姿勢」となり、左足より退いて元の位置にもどる。
審判・審査の着眼点
- 受け流しの体勢で、上体をかばった姿勢になっているか。
- 左足を右足後方に引き、袈裟斬りになっているか。
- 左拳は臍前に止め、切っ先がわずかに下がっているか。
気をつけるポイント
- 左足を踏み出すのよりも前に、右足のつま先を立てること。そうしないと重心が安定しない。
- 刀は前に抜かない。自分の心臓を守るようなつもりで上方向に抜いていく。
- 左足はあまり前に踏み出さない。右足の膝より前に出ないくらい。
- 右膝の膝を左脚にぶつけるような感じで立ち上がる。脚が完全に伸びきらないように。すると自然と足がイの字になっているはずである。
- 体を引いて、11時の方向に斬りつける。(人によって10時、10時半とも)
- 体を開きすぎない。正面に向かって、右足と左足がまっすぐになるように。(2011/11/13)
- 納刀時、自分の水月よりも右手が上に上がらないように。また、納めたときに右手は上から覆い被さっているように。(2011/11/13)
- 受け流し後、ちゃんと刀を返してから切る。返しが甘いと、回しながら切るようになってしまう。
- 物打ちが相手にあたってから引き切りをするため、足は切りながら引く。足を引いてから切るのではない。(2020/08/23)